経営戦略は企業が成長していくために必要不可欠なものです。一般に、経営戦略は企業ごとにノウハウがあるものですが、戦略は時代のニーズとともに柔軟に変えなければいけません。そのため、培ってきたノウハウを継承するだけでは不十分なので、自ら戦略を立てる能力を育てる必要があります。そのためのツールとして、MG(マネジメントゲーム)を活用して経営戦略を学ぶ方法があります。今回は経営戦略学習に役立つ戦略MGにスポットを当てて詳しく解説していきます。

MGとはどのようなものを指すのか

戦略MGを使った研修は長い歴史を持っています。もとから経営教育を行うことを目的に開発されたゲームなので、たかがゲームと侮ることはできません。経営学習に特化したゲームを楽しみながら経営体験を学べるのが大きな特徴となっています。戦略MGは1卓6名の参加者で行うゲームです。はじめに参加者それぞれが300万円の資本金を持って社長となり、1社ずつを経営して資本を増やしていきます。基本的なルールは、参加者が反時計回りに意思決定カード(緑)を引いていき、カードに書かれている内容に沿ってどのような行動をとるかを自ら決めます。意思決定カードには商品販売、材料購入、広告、教育など、合計10の選択肢があります。意思決定カードの中には「リスクカードをひく」という指示もあり、この場合は赤色のリスクカードを引きカードの指示に従います。これを順番に5期分繰り返し、最終的に手元に残る資本金の大きさを競います。

MGでなぜ戦略を学べるのか

戦略MGが優れているのは、ゲームとはいえ1期ごとに本格的な決算を行うため、決算結果に応じた次期経営戦略を立案して臨まなければならないところです。MG研修では、通常2日間にわたって5年分の経営体験ができるようにスケジュールが組まれています。MG研修は1回参加しただけでもたくさんのことを学べます。しかし、何度も繰り返し受講して異なる参加者とゲームを行うことで、多様な状況に応じた戦略の立て方など、より多くの経営戦略を習得できるでしょう

スタートが同じでも意思決定で結果が変わる

戦略MGの興味深いポイントとして、同じ条件や資本金でゲームをスタートしても、意思決定のタイミングによって結果が大きく異なることが挙げられます。単純に戦略MGに慣れている人が毎回勝つというわけではなく、リスクカードなど現実世界のように運の要素も絡んできます。戦略MGは単なる遊びではなく、経営戦略を的確に学ぶことができるツールなのです。また、このゲームは他の参加者とやり取りする機会も多いため、参加者が変わるごとに戦略を考え直す必要があります。他者に対する観察力も向上するため、多角的な方向から経営について学習できます。現実世界では資本がなければアイデアを実行することはできませんが、戦略MGの中でもそれは同じです。「次はこうすれば良い」というアイデアがあったとしても、資本が少なければゲームに勝つことはできません。資本と意思決定のバランスを見極めてその都度最適な行動を選択する必要があり、選択結果によって毎回ゲームの勝敗は大きく変わっていきます。

経営者の右腕となり得る人材を育てるのにも役立つMG

戦略MGには経理や会計の知識なども必要となります。ゲーム中は設備投資や人材採用、商品販売などを行うシーンが何度もあるため、計算したり値段を決めたりしなければならないからです。同じ条件でスタートしても決断次第で結果が変わるゲームのため、MG研修には多くのリピーターが参加します。戦略MGは新入社員も学生も、また経営者も一緒になって参加できるゲームです。すでに会社を成功させている経営者自身も戦略を学ぶのに用いることができ、また経営者の右腕としての人材を育てるのにも役立ちます。どのような立場の人であろうと、ゲーム上は社長の立場で物事を考えることができる戦略MGは、人材を育てるのに優れたツールといえるでしょう。