セールスマネージャーとは、営業部門のトップであり、営業活動を指揮する立場の人を指します。高い営業成績を収める営業チームには、優秀なセールスマネージャーの存在が不可欠です。しかし、ただセールスマネージャーを配置しただけでは、営業チームのメンバーの能力や成績は向上しません。セールスマネージャーには、メンバー一人ひとりの能力や成績を向上させるために求められる能力があるのです。セールスマネージャーに必要な能力とは、どんなものなのでしょうか。

メンバーの能力と育成ポイントを正しくつかむ能力

セールスマネージャーの大切な仕事に、「メンバーの指導」があります。チームのメンバーの能力を伸ばすために改善点を指摘したり、アドバイスをしたりするのです。メンバーを指導する際、セールスマネージャーが自身の経験に基づいた指導を行う場合があります。しかし、この方法はどんな時でも有効な訳ではありません。場合によっては、メンバーの適正とは真逆の誤った指示を与えかねません。指導を行うときは、メンバーそれぞれに合った適切な指導を行うことが重要になります。メンバーがどのような能力を持っていて、どんな性格をしているのかを把握することが必要です。苦手なことや短所を克服するのも大切ですが、得意なことや長所を伸ばすのはもっと大切になります。セールスマネージャーには、メンバー一人ひとりの育成ポイントを正確につかみ、伸ばすことができる能力が必要なのです。

セールスマネージャーに求められる指導力とは?

実際にメンバーを育成する際、どのような指導をしたらよいのでしょうか。セールスマネージャーに必要とされるさまざまなスキルの中でも、コミュニケーションスキルは非常に大きな役割を果たします。メンバーと誤解がない意思の疎通がしっかりとできるからです。対話を通して、現在発生している問題や原因を洗い出し、状況に応じた解決策をメンバーとともに導き出し、はっきりと示すのがベストな指導方法になります。しかし、メンバーに任せるより自分がやった方が早いからといって、仕事をすべて取り上げてしまっては、指導の意味がありません。職歴が浅いメンバーにとっては、失敗も大切な経験です。まずはメンバーに仕事を任せてみて、それからしっかりと意思の疎通を行いましょう。一方的に教えるのではなく、メンバーと一緒に答えを導き出せるような環境や機会を設けることが重要です。

相手のレベルに合う伝え方ができる能力

コミュニケーションスキルには、相手の理解度に合わせて「言葉」を選ぶ能力も含まれます。セールスマネージャーにとって、相手が理解しやすいように言葉を選んで話せる能力は、とても大切な能力です。例えば、子どもに「りんご」を説明する際、「深紅の色をした果実である」と説明したとします。しかし、子どもが「深紅」や「果実」という言葉を知らなかったら、「りんご」の情報は十分に伝わりません。この場合、子どもが分かりやすい言葉である「赤い」や「果物」と言った言葉を使って説明した方が伝わりやすいでしょう。このように、情報や気持ちを伝える場合は、相手が持っている知識や経験を考慮してから言葉を選ぶことがポイントになります。情報が正確に伝わらなかった結果、誤解をしてしまう可能性もあるので注意が必要です。また、普段からコミュニケーションが取れるようにするには、メンバーが気軽に質問できるような環境を整えることが重要になります。良好な環境を築くために、挨拶はもちろん必要です。情報を伝えるときは、自分に合わせたレベルの言葉で伝えるのではなく、相手が持っている知識と経験のレベルに合わせて、具体的に伝えるようにしましょう。

セールスマネージャーとしての交渉力

セールスマネージャーは、営業チームのメンバーの上に立つ存在です。チームを引っ張っていく身として、セールスマネージャー自身も営業職の手本となるような交渉力を持ち合わせた方が望ましいでしょう。チームのメンバーがセールスマネージャーの交渉術を参考にしたり、セールスマネージャーを中心として結束やモチベーションが高まったりするからです。また、手本を見せることで、チームのメンバーがそれぞれ成長していくこともできます。部下であるチームのメンバーが能力を向上できるような仕組みを作ることもセールスマネージャーの務めなのです。セールスマネージャーは、チームのメンバーのことをよく理解し、一人ひとりに合わせた指導ができるスキルと、メンバーが自ら成長していけるように導くスキルが重要な能力になります。