自社の商品やサービスをより魅力的にクライアントに伝えるためには、一体どのようにしたらよいのだろうと悩んでいる営業マンも多いのではないでしょうか。そのための話法の1つとして注目を集めているのが「FSV話法」です。これまでの営業トークでは今ひとつ結果を残せなかったという人も、このFSV話法を取り入れることによって大きな成果を上げることができるかもしれません。そこで今回はFSV話法の詳細や具体的な活用事例について解説します。

クライアントに商品やサービスの魅力を伝えるFSV話法

FSV話法とは、営業活動において効果的な三段論法の話し方です。FSVのFはFact(事実)のことで、自社が扱う商品やサービスの詳細です。SはScene(場面)を表し、クライアントがその商品やサービスを実際に利用する場面を提示します。そしてVはValue(価値)で、その商品やサービスを購入することでクライアントはどのような価値を得ることができるのかを指します。
営業活動においてはただその商品やサービスのFact(事実)だけを伝えるのではなく、クライアントがその商品やサービスを実際に利用するScene(場面)やそのことによって得られるValue(価値)も同時に伝えることが大切です。

FSV話法が有効な理由とは?

では、なぜ営業においてFSV話法が効果的なのでしょうか。それはただFact(事実)のみを伝える一般的な営業トークは相手の心に響かないためです。自社の商品やサービスに関する情報を伝えることも大切ですが、その商品やサービスをどのように利用し、そのことによってどんなメリットがあるのかということを提示することが大切なのです。
なぜならクライアントやお客様はそれぞれ異なる人格を持ち、異なったライフスタイルを持っているからです。せっかく商品やサービスを売り込みに行っても、その商品やサービスを利用する際の場面や、そのことによって得られる価値というものをクライアントがイメージできなければ、新商品や新サービスの魅力は伝わりません。

こんな場面で活用!FSV話法の具体例

実際にFSV話法を使用する具体的な例として、自動車のセールスの場合を考えてみましょう。
ある営業スタッフがお客様である夫婦に新車の説明をしていたとします。その営業スタッフは新車の新機能として、前部のシートが回転して後部の座席と対面する仕様になっていることを実演して見せました。(Fact)
その様子を見て奥様が「そんな機能に一体何の意味があるの?」と尋ねます。すると営業スタッフは「車でどこかへお出かけして食事をするとき、シートを対面させて間にテーブルを置いたら、みんなで食事ができますよ」と言いました。(Fact)
そうするとご主人も「食事の後にみんなでトランプをすることもできるね」と言い、新車の販売へとつながったのです。(Value)
このことからも分かるように、ただ商品やサービスの機能(Fact)だけでは、お客様に魅力を伝えることができませんが、「家族で食事ができる」という場面(Scene)や、「家族で楽しい時間が過ごせる」という価値(Value)を提示することで、より自社の商品やサービスを魅力的にクライアントへと伝えることができます。

男性と女性ではアプローチ法を変えるのが効果的!

セールストークに効果的なFSV話法ですが、男性に対して行う場合と女性に対して行う場合とではそれぞれ別のアプローチ法をとるのが効果的だといわれています。これは男性と女性では脳や身体といった生物学的な違いがあるだけでなく、社会的な役割や文化においても異なっているためです。
男性は一般的に商品やサービスのスペックを重視する傾向があります。そのため男性に対しては最初にFact(事実)を提示し、その次にScene(場面)、Value(価値)を話していくとよいでしょう。
一方で女性はスペックよりもその商品やサービスを購入したあとのイメージをより重視する傾向があります。そのような女性に対してはまず商品やサービスを利用したときにどう感じるかといったScene(場面)を提示することによってイメージを引き出し、その次にValue(価値)、最後にFact(事実)を提示するのがおすすめです。