営業活動において顧客に商品やサービスを提供した際には、それに見合った対価を受け取るのが一般的です。しかし中には商品・サービスを顧客に提供したにも関わらず、顧客から対価を受け取らない場合がある契約形態が存在します。それが成功報酬と呼ばれているものです。ここでは「具体的に成功報酬とはどのようなものなのか」「成功報酬は、どのようにしてビジネスに使われているのか」など成功報酬について詳しく解説いたします。

成功報酬って何?

成功報酬を一言で言うならば仕事が成功したことによって支払われる報酬のことです。また目的に達しなかった場合は代金を請求しない契約形態のことを表すこともあります。目的を達成できなかった場合はサービス提供者にメリットがなく無駄に終わるリスクがありますが、その分成功報酬を高く設定することが多い傾向です。成功報酬にはサービス提供者と顧客の両者に大きなメリットがあります。まずサービス提供者としては契約を取りやすくなります。これは対価を支払わなくてもよい可能性があるということが、顧客の心理的なハードルを下げるためです。そして顧客としては理想的な成果が得られなかった場合には対価を支払う必要がないため、損をすることがありません。

成功報酬と成果報酬の違いとは?

成功報酬とよく似たものとして成果報酬と呼ばれるものがあります。この2つは似ていますが内容としては異なるものであるため、しっかりと区別しなければなりません。成功報酬には明確な成功の定義が設定されており目的を達成した場合にのみ報酬が発生します。当然ながら失敗した場合には報酬は発生しません。成功と失敗の間には明確な境界線があることがポイントです。また成功の定義と報酬額は契約の段階で決定します。予想以上の成功が得られたとしても報酬額が後から変化することは一切ありません。
一方、成果報酬は結果にもとづいて報酬が決定されます。より具体的に言うならば「どれだけの成果を出すことができたか」という事後的な結果で報酬額が変動するということです。また成果報酬には失敗はないため、成果の質が悪かったとしても成果に見合った報酬が発生します。
簡単に2つの違いをまとめると次のようになります。成功報酬は報酬額があらかじめ決められており、報酬はあるかないかのどちらかです。そして成果報酬は報酬額が後から決まり報酬額には幅があるものの必ず報酬が発生します。

実際の報酬として使われるケースは?

成功報酬を導入している業界はそれほど多くはなく限定的です。それでは具体的にどのような業界で使われているのでしょうか。代表的なところでは広告業が挙げられます。特に有名な商品としてはアフィリエイト広告があります。広告を掲載するだけでは広告料金は発生しませんが、その広告を通して成約があった場合に広告料金が発生するというものです。ほかにも「広告を掲載して問い合わせが○%向上しなければ報酬なし」というような形態もあります。広告業以外の業種としては弁理士が成功報酬を導入していることが多い傾向です。弁理士は特許出願によく利用されますが、必ずしも特許が認可されるわけではありません。そのため特許認可を成功と定義して報酬を決めることがあります。

一般的な職業ではあまり使われない

ここまで成功報酬について詳しく紹介してきましたが、実際に導入している職業は少なく決して一般的な報酬の形であるとはいえません。また業界や業種によって異なりますが、成功報酬を単体で導入することは珍しく着手金などのような他の収入源と組み合わせて導入するのが一般的です。しかし成功報酬は特殊なものではありますが、サービス提供者と顧客の双方にメリットのある便利なものでもあります。使い方を工夫すれば新たな取引のきっかけになるかもしれません。