「物を売る」という意味では「営業」も「販売」も似ている部門です。しかし、ほとんどの会社が営業職と販売職を区別しています。そして、それぞれに求められる仕事内容もスキルも異なります。同じ商品でも「営業するか」と「販売するか」でまったく仕事が変わるといえるでしょう。両者の違いを明確にできれば、自分自身がどちらの職業に向いているかも理解できます。ここでは、「営業」と「販売」の違いについて詳しく説明していきます。
「営業」と「販売」はここで分かれる!
何となく「営業」は外回りをして商品を売り込み、「販売」はお店などでお客様の相手をするというイメージを持っている人が多いでしょう。そして、ほとんど正解だといえます。最終目的はいずれも「商品を売る」ことにありますが、「営業」は新しい顧客を獲得する仕事です。一方、「販売」はすでに獲得している顧客に対して購入のサポートをする仕事です。大きな違いは「購入意欲」の有無です。営業は購入意欲が薄い顧客に対して商品の魅力を説明し、意欲をあおります。販売が相手にする顧客はすでに購入意欲が固まっている人々だといえるでしょう。
就職活動でよくあること!「営業職」と「販売職」で求められる人材の違い
就職活動では「営業」向きの人材として「やる気」「体育会系」「コミュニケーション能力」などがよく挙げられます。営業職は、初対面の相手でも物怖じせずに関係性を築かねばならない仕事です。明るく快活な人間が求められる傾向があり、体育会系などで集団生活の厳しさを経験している人材が重宝されます。一方、「販売」向きの人材としては「礼儀正しさ」「真面目」「穏やかさ」などが長所として挙げられます。販売はマニュアルに沿った接客で、固定客を満足させる必要があります。販売客に「売り込み」をかけるよりも買い物の手伝いをする場面の方が多いため、穏やかで威圧感を与えない人材が好まれます。
「営業職」についての具体的な仕事内容
商品として「パソコン」を例に挙げて、営業職の仕事内容を見ていきましょう。営業職はまず「どこに」「どれくらい」「いつまでに」パソコンを売るかの計画を立てます。企業や役所、学校など組織に対して大量の台数を売り込む営業もいれば、個人客相手に1台ずつパソコンを売り込む営業もいます。こうした営業スタイルには会社の経営戦略や個人のポリシーが反映されます。営業は目標の売上を達成するために、人脈や労力を駆使して営業活動を展開します。一方で、顧客を訪問した際にパソコン以外の需要が見つかれば提案商材を変更し、売上につなげるパターンもありえます。
「販売職」についての具体的な仕事内容
販売職が相手にする顧客のほとんどが購入の意志を固めている、あるいはほとんど固めている人たちです。販売は最後の一押しをするために商品の魅力や種類の違いを説明することはありますが、前提として「顧客に聞く意志がある」状態にあります。販売職はポップやチラシなどで購買意欲をあおるための宣伝を行います。ただし、対象になるのはほとんどがリピーター客であり、新規開拓は優先的な業務に含まれないケースが目立ちます。販売職は「担当商材」があるので、担当外の商材を求めている顧客は他の社員に紹介します。購入意欲が見られない別の商材をすすめることはまずありません。
「営業」向きと「販売」向きをどこで見極める?
営業と販売では求められるスキルが異なります。しかし、適性を見極めるためにもっとも重要なポイントは「応用力」の有無だといえるでしょう。営業職で大切なのは会社全体の利益を上げることです。そのためには、1つの商材やサービスにこだわる必要がありません。会社が取り扱える商材であれば何でも提案し、売上につなげる意識が肝心です。一方、販売職は持ち場が決められています。自分の管轄外の商品が売れると会社の利益にはなるものの、自分の評価にはつながりません。そのため、持ち場を訪れた顧客への「後押し」が重要です。応用力のある人は営業を、1つの専門にこだわりたい人は販売職を目指すのがいいでしょう。