さまざまな職種が存在しますが、そのなかには世間での認知度が低いものもあります。営業技術という職種もそのひとつであり、経営者や事業担当者であっても詳しく知らないケースもあるでしょう。この職種の社員がいることは、企業にとって大きな戦力となります。営業技術という人材の採用を検討するのであれば、仕事内容や求められるスキルについても把握しておく必要があります。今回は営業技術の仕事内容について解説し、求められるスキルなども紹介します。
技術営業は技術者であり営業マン
技術営業と呼ばれる職種も営業技術と同じ仕事をします。企業によって呼び方が異なるだけで、基本的には両者に違いはありません。技術的な専門知識を活用しながら、営業活動を行うのが主な仕事です。つまり技術職でありながら営業職でもあるのです。技術営業職が行う営業は、商品やサービスを単純にアピールするだけでは終わりません。それらの技術面についても詳しく説明することで訴求効果を高められます。一般的な営業職でも、ある程度は技術の説明を行える人もいるでしょう。しかし専門家ではないため、答えられない質問を受けるケースも多々あります。技術営業職が担当すれば、そのような心配はいりません。商品の開発段階から関わることもあるなど、関係する技術を熟知しているからです。
2つの視点で物事を見る強み
2つの視点を持っていることが、技術営業職の大きな強みです。そのような人材がいなくても、技術職と営業職のふたりが協力すれば良いと思う人もいるでしょう。確かにそうすれば、それぞれの不得意な面を補えます。しかし、別々の人が協力して行うことで生じる問題もあるので注意が必要です。職種が違うと視点が異なるので、方針がうまくまとまらないケースがあります。たとえば技術職は可能と判断しても、営業職は難色を示すこともあるでしょう。方針の擦り合わせに時間がかかり、理解しあえずに適切でない判断をする恐れもあります。一方、両者の視点をあわせ持つ技術営業職であれば、技術的にも営業的にも優れた対応を選びやすいメリットがあります。ひとりで判断できるので、スピード感を持って交渉を進められることも大きな強みです。
技術営業に求められるスキル
技術営業職として活躍するには、4つのスキルを習得しなければなりません。まず、技術に関する専門知識が必要であることはいうまでもないでしょう。次に、ニーズを汲み取るヒアリング力も必要です。いくら技術に精通していても、顧客のニーズが分からないと適切な提案を行えません。また、ニーズを把握できるだけでは不十分です。顧客が納得できるように、説明する能力も求められます。専門用語をなるべく使わずに、平易な言葉で分かりやすく解説するのが基本的なスタンスです。最後に、プロジェクトを取り仕切るマネジメント力も欠かせません。顧客が納得してプロジェクトがスタートしても、うまく取り仕切れないと計画どおりに進みません。技術と営業の両方を理解できる立場としてプロジェクトを滞りなく推進するためには、マネジメント能力を発揮することが何よりも重要です。
技術知識で信用を売る
営業活動の際に技術的な説明ができると、大きな付加価値が生じます。顧客から自社製品に対する信頼を得やすくなるからです。いくら良いものだと力説されても、その根拠が明確でなければ信じられない人は多いでしょう。優れている点を技術的にしっかり説明してもらえると、顧客は安心します。また技術に関する質問を受けたときに、淀みなく受けられることも信用につながります。顧客との良好な関係を築くには、いかに信頼を得るのかが重要なポイントです。自社製品を信用してくれる顧客が増えていけば、社会的にも信用できる企業として認知されるようになるでしょう。技術の専門知識で信用を売れるのは技術営業職だけなので、とても貴重な戦力といえます。