ビジネスの世界では敬語や振る舞いなどでマナーが求められます。中でも、基本中の基本とでもいうべきマナーが「下座」と「上座」でしょう。目下の人間が座る位置を「下座」、目上の人間が座る位置を「上座」と呼びます。上司や顧客を「上座」に案内して自分が「下座」に座るのは商談などの常識です。「下座」「上座」を間違えると失礼にあたり、相手を怒らせる場合もあります。ここでは、「下座」と「上座」のルールについて詳しく説明します。

洋室における「上座」「下座」のルール

洋室では「入り口」を基準にして上座と下座を決定します。入り口から近い席が下座であり、入り口から遠い席が上座になります。洋室では入室したとき、テーブルを挟んで椅子が置かれているレイアウトが一般的でしょう。もし入り口が部屋の左側にあれば、左手前の椅子がもっとも目下の人間が座るべき下座です。上司と客室に通された場合は左手前に部下が、左奥に上司が座るのが一般的です。
逆に、右側の席が上座となります。その場でもっとも目上の人間が右奥に座るよう誘導しましょう。ドアの位置が右側にあれば、右側が下座で左側が上座になります。

和室における「上座」「下座」のルール

和室でも基本的には洋室と同じく、入り口に近い席が下座です。左側に入り口がある和室では、入って左手前の席がもっとも目下の人間が座るべき下座です。そして、左奥の席がもっとも目上の人間が座るべき上座です。失礼のないように案内しましょう。ただし、和室が洋室と違うのは「床の間」という基準がある点です。床の間がある部屋では入り口の位置に関係なく、床の間に近い側が上座となります。目上の人は「床の間を背にして座るべき」と覚えておきましょう。逆に、目下の人間は床の間と向かい合って座るのがビジネスマナーとなります。

車における「上座」「下座」のルール

車の上座と下座は「タクシー」か「自社の車」かどうかで変わるので注意しましょう。タクシーの場合、運転手に指示を出すべき助手席がもっとも目下の人間が座る下座です。そして、凹凸があって座りにくい後部座席の真ん中が次の下座となります。もっとも目上の人は運転席の真後ろが上座となります。
ただし、「自社の車」では上座と下座がズレます。もっとも目上の人間が座るべき上座は助手席であり、二番目の上座が運転手の真後ろとなります。ただし、後部座席の真ん中がもっとも目下の人間が座る下座なのは変わりません。若手社員は自社の車では運転をするか、後部座席の真ん中に座るのがマナーです。

エレベーターにおける「上座」「下座」のルール

意外に知られていないのが、エレベーターの上座と下座です。映画やドラマでは、上司が後方の真ん中に位置しているので、そこが上座だと勘違いしている人も多いでしょう。しかし、映画ではあくまで画面に映りやすいように立ち位置が決められているだけであり、実際は「操作盤」の位置が基準となります。もっとも目下の人は階数ボタンを押したり、降りる際に開閉ボタンを操作したりする必要があるので、操作盤の近くが下座となります。以下、操作盤に近い順で前方に目下の人間が立ちます。後方で操作盤から遠ざかるほど、より目上の人向けの上座となるので、注意しましょう。

会議室における「上座」「下座」のルール

会議室での上座は特殊です。通常であれば、もっとも入り口から奥の席が上座であるのは言うまでもありません。しかし、会議では「議長」という役割が置かれるときもあります。議長は全体を見渡すべき立場なので、もっとも見晴らしのいい奥の席が用意されます。そして、議長席を除外して上座と下座を設定しなおします。
ルールとしては「洋室」と同じです。議長の隣で入り口から遠い方が上座、入り口から近い方が二番目の上座です。以下、議長から遠ざかるにつれて順番が下がっていき、会議室でもっとも入り口に近い位置がもっとも目下の人間が座る下座となります。