一般的な営業職では、実際の売上がいくらであっても最低限の給料が支払われ、成績によってはプラスαでボーナスが支給されることもあります。しかし、中には実績がそのまま給料に反映される雇用形態も存在します。それがフルコミッション営業と呼ばれるものです。フルコミッション営業を導入している企業はまだまだ少なく、その実態はあまり知られていません。そこでこの記事では、フルコミッション営業の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

フルコミッション営業とは何?

フルコミッション営業とは、完全歩合制の営業職のことです。固定給は一切なく、最終的にどれだけの成果を出すことができたのか、という点でのみ給与が決定されます。成果が出なかった場合は、給料はありません。しかし、逆を言えば、大きな成果を出すことができればその分給料も大きくなるということです。成果次第で給料が変わるというのは経営者に近い働き方になりますが、雇用されている会社の商品を扱うことができるという点で経営者とは大きく異なります。

フルコミッションのメリットとデメリット

フルコミッションの最大のメリットは、成果を上げれば給料が増えることです。一般的な営業職の場合は、どれだけ優れた成績を出したとしても、固定給にほんの少しのボーナスが支給される程度です。そのため、どれだけ頑張っても給料は同じなのだから楽をしよう、と考える人も珍しくありません。それに対してフルコミッションは、給料は青天井であり、やればやるほど給料がもらえます。能力に見合った分の給料がもらえるため、仕事にやりがいも感じやすいです。そして、裁量次第では時間を自由に使えることも大きなメリットです。自分の中で月のノルマを設定しておき、それを早期に達成できれば、後は仕事を休んでも問題ありません。実力があるのであれば、お金と時間の両方において自由になることができます。反対に、デメリットとしては、売上を出せなければ報酬はゼロになってしまうことが挙げられます。売上がゼロだった場合は給料も文字通りゼロです。さらに、交通費は自分持ちであることが多いため、売上が作れなければ赤字になる可能性もあります。また、労働時間についても自分の能力次第です。売上が作れなければずっと働かなくてはなりません。

向いているのはどんな人?

フルコミッション営業は非常に特殊な働き方であるため、向き不向きがあります。向いている人の特徴としては大きく4つ挙げることができます。1つ目は、自分に自信がある人です。フルコミッション営業として働いていると、調子のいい時と悪い時があります。悪い時に関してはネガティブに考えてしまうことが多く、このまま成果が出なければ生活ができない、というプレッシャーに負けてしまうこともあるかもしれません。そうならないためにも、絶対に自分はできるんだ、という強い自信が大切です。2つ目は、実績を上げた経験がある人です。フルコミッション営業で生き残るためには、とにかく能力が必要です。そして、自分に能力があるかどうかは過去の実績という客観的な数字が参考になります。根拠のない自信も大切ですが、過信は禁物であるため実績も考慮するようにしましょう。3つ目は、向上心のある人です。コンスタントに成果を出し続けるためには、常に学び続けることが求められます。成果が出なかった時はなぜ失敗したのかを考えて、次に活かしていくことが大切です。自分に足りない点を見つけ、常に改善していかなければなりません。4つ目は、安定にこだわらない人です。フルコミッション営業の場合は、経済などの影響に左右されることが多いため、毎月まったく同じ成果を出すことは困難です。そのため、成果を出しやすい月もあれば、そうでない月もあるということを理解しておく必要があります。

フルコミッション営業が多い業界

フルコミッション営業を導入している業界はまだまだ少数派であり、限られています。比較的フルコミッション営業を導入していることが多い業界としては、不動産・美容・保険業界の3つです。特に、不動産業界では単価が非常に高いため、1件の成約で100万円を超える給料が得られることもあります。

実力を活かしたいならフルコミッションで!

フルコミッション営業は実力がすべてであるため、万人向けの働き方ではありません。しかし、自分の能力に自信があり、かつその能力が適切に評価されていないと感じている人にとっては、フルコミッション営業は非常にやりがいのある働き方でしょう。