「ロールプレイングとはどういうものか?」と問いかけられたとき、明確に答えることができるでしょうか。ロールプレイングは営業や接客や販売に関わる人にとって、とても重要な意味を持ちます。ロールプレイングを経験しているか否かで、ビジネスマンとしてのスキルに大きな差が生まれるといっても過言ではありません。そこでここではロールプレイングが想像できない人のために、その意義や目的、やり方などについて解説していきます。
ロールプレイングとはどういうもの?
ビジネスシーンにおけるロールプレイングとは端的にいえばセールスマンの教育訓練手法の1つです。営業や接客や販売などに従事するセールスマンに実践的で効果的な仕事のやり方を学んでもらうため、実際の仕事の現場を模したシミュレーションを行います。役割演出法とも呼ばれ商談の場面を想定して、それに応じた登場人物になりきり商談を進めていきます。そうすることで商談の際に生じるであろう問題点や、その解決策について客観的に考えることができるようになるのです。たとえば職場の先輩社員が「顧客」の役割を演じ、新人社員がその顧客に商談を持ちかける「飛び込み営業に挑むセールスマン」を演じるというような形になります。
ロールプレイングの目的って?
ロールプレイングの狙いとしては、まず合意形成や他者受容といった能力の向上が挙げられるでしょう。営業や接客や販売などの現場において多くの場合「する側」と「される側」という立場の違いが生まれます。そして立場の異なる者同士が意志の疎通を図り、合意にいたるまでには数々の問題点や主張のくいちがいを解決することが必要です。その過程で他者の立場や意見などをいかに受容できるかがポイントとなります。こうした合意形成や他者受容の能力を、実践的なシミュレーションを繰り返すうちに向上させることができるでしょう。
また与えられた役割を通じて複数人で話し合うことで課題に対する理解度が高まります。個人の想像のなかで得る理解よりも異なる立場の役割を経験した複数人が意見を出し合った形での理解のほうが、より客観的で多角的だといえます。その結果、多用な立場の人間が絡み合う社会集団の関係性についても深く理解することができるでしょう。
2つのやり方がある!
ロールプレイングには2つのやり方があり、その1つが「登場人物の数ごとにグループ分けを行い、全員がロールプレイングに参加する」というやり方です。仮に登場人物がAとBという2人だった場合、参加者はAグループとBグループに分かれます。そして各グループから1人代表者を選出し、その代表者はグループで話し合った内容に沿って役割を演じていきます。登場人物ごとの立場に合わせ、より多角的な意見を交わすことが可能です。
もう1つは「参加者のなかから選ばれた代表者が登場人物を演じ、他の参加者はそれを観察する」というやり方です。登場人物の役割を与えられた代表者たちの主張だけでなく第三者視点からの意見も交え、問題点や解決策を考えることができます。
ロールプレイングの進め方の例
まずはロールプレイングを始める前に訓練中のようすをビデオで撮影することを参加者に伝えます。撮影されているという状況が緊張感と集中力を生み、より実践的なシミュレーションを行えるようになります。続いてシミュレーションの設定と登場人物の役割を決めます。「どんな商談の場なのか」「登場人物の年齢や役職」などについて具体的に設定しましょう。次に設定に従ってシミュレーションを実施し、おかしな点や問題点などを指摘しながら進めていきます。商談のシミュレーションが終わったら、撮影していたビデオを全員で確認・共有し、意見を出し合って解決策を模索します。
ロールプレイング実践で解決策を見つける!
営業・接客・販売などの商談の現場では、どんな不測の事態が発生するかわかりません。そのためロールプレイングを何度も実践し、さまざまな状況を擬似的に経験しておくことが重要です。シミュレーションを重ねて合意形成や他者受容などの能力を養っておけば、実際の商談の際も柔軟な対応ができるようになり、適切な解決策を見つけられるようになるでしょう。