社会人として働いている人の中には、起業を目指している人もいるでしょう。スムーズに独立するためには、社員を集めず一人で起業に踏み切るのも一つの選択です。むしろ、一人起業の方が得られるメリットが多く、早く経営が軌道に乗り出す可能性もあります。一方で、一人で会社を運営していく苦労、デメリットもあり決断前には慎重な検討が必要でしょう。また、一人起業向きではない人もたくさんいます。ここでは、一人起業のメリットやデメリット、適性について解説します。
一人で起業する場合のメリットは?
一人起業のメリットは「金銭的負担が少なくて済む」ことです。そもそも社員が自分しかいないので、人件費の悩みがなくなります。また、会社の利益の多くが自分に入ってくるのも一人起業ならではです。そして、時間にも縛られません。従業員を気にして出社時間や退勤時間を決めなくていいので、好きな時間に働けます。自宅で早朝や深夜に仕事をし、昼間はプライベートの時間にしても許されるのです。
定年退職がないのも一人起業の特徴でしょう。何歳までも働けますし、何歳からでも起業できます。そして、わずらわしい人間関係からも解放されます。嫌な上司も話の合わない部下もいません。人づきあいが苦手なビジネスマンも一人起業によって自由に働けます。
一人で起業する際に考えるべきデメリット
一人起業には「マンパワーが不足する」欠点があります。絶対的に人数が少ないので、せっかくの案件を断らなければいけない場面も出てきます。目算を誤って結果的にコストがかかる仕事もあるでしょう。一人の会社は仕事とプライベートの線引きも難しくなります。気持ちの切り替えがつかなくなり、仕事に集中を欠く日も珍しくありません。
気をつけなければ健康面のリスクも出てきます。健康診断などのイベントも自分で調整する必要があるうえ、仕事が忙しくて体調を崩す経営者もいます。また、老後の備えの不安も起こるでしょう。一人の会社では退職金がありませんし、体が動けるうちに十分な貯金ができるかどうかも曖昧です。一人起業は会社員時代よりも将来についての悩みが増えるでしょう。
一人起業するために求められる能力
一人起業できるビジネスマンには「開発力」がそなわっています。自分で新しい企画、サービスを考えてライバルに対抗していくだけの発想があります。他社が組織的に行っているビジネスを一人で行うのですから、「仕事を生む意識」は肝心です。広い意味でのデザイン力も求められるでしょう。仕事をどのように広げて、どのように宣伝するかの「ビジネスデザイン」は重要な才覚です。
一人起業する際にはマーケティングも自力で行わなければいけません。商品を売り込むターゲットを絞り込み、営業をかけるのも経営者の手腕次第です。そして、会社を良い方向に導くマネジメント力も大切です。会社の欠点を自覚し、クリアするために努力できる人間が一人起業を成功させられます。
事業を成立させるためにできる対策
一人起業ではアウトソーシングをいかに有効活用するかがポイントです。自社では手が回らない仕事、能力が備わっていない仕事を外部委託するようになると、本来のポテンシャル以上の仕事量をこなせます。ただし、費用は細かく計算しましょう。また、代行業者を活用するのも一つの方法です。
仕事や日常生活を見直すと利益が上がることもあります。たとえば、時間配分を工夫してリズム良くスケジュールをこなせるようになると、仕事の精度も高まります。徹底した健康管理により、風邪や睡眠不足に陥らないようにも意識しましょう。
そして、年金や保険の対策も肝心です。一人起業では税金も重要な会社の支出です。控除や節税についての知識を身につけましょう。
一人きりで起業するなら十分な計画性を持って!
一人起業は代わりに務められる人がいないからこそ、十分な計画を立てる必要があります。人間関係から解放されるなどの楽さがある一方、決して生活をたるませることなく、自分自身をコントロールする能力が求められているのです。