営業職を続けていると、提案が顧客に却下されてしまう場面にも出くわします。むしろ、最初から提案が受け入れてもらえるパターンの方が少ないでしょう。断られるたびにあきらめていては、営業職として成果を残せません。一度断られた相手に対してどのように商談を続けていくかが営業職の腕の見せ所でもあります。この記事では、顧客に提案を断られたときの心構えや、顧客の断り方のパターンに応じた対策について深く解説していきます。

営業は断られることを想定して動く

営業は販売とは異なり、顧客が欲しいものを売りに行くとは限りません。販売では「顧客が欲しい商品を探している」ことを前提でセールストークを行えても、営業ではそもそも需要自体が生まれていない状況で商談をしているケースが少なくないのです。また、たとえ需要があっても顧客が購入に動くタイミングで提案しなければ売上には結びつかないでしょう。
相手のニーズがわかる前の段階では「断られて当たり前」です。最初に顧客に持ちかける提案は断られることを前提としましょう。断られた後、顧客に切り返す方法を用意しておく必要があります。「断る理由」を分析し、本当に顧客の中にある需要へと近づけられれば、再度持ちかけた提案は受け入れられやすくなります。

その場しのぎの断り方は分かりやすい

顧客に提案を断られるときは、「本当に需要がない場合」と「その場しのぎで断っている場合」があります。需要がない相手に対してはしつこく同じ提案をしても時間を浪費するだけです。ただし、その場しのぎで断っている顧客は、アプローチさえ工夫すると商談にまで持ち込める可能性があります。「今忙しいから」「電話中だから」「人が来ているから」というような曖昧な断り方は、ただ単に訪問営業が嫌いだからという理由が垣間見えるパターンです。顔が見えないインターホン越しやテレアポだと深く話せない傾向がありますが、少しでも顧客の注意を引けたら本格的に話を聞いてもらえる確率が高まります。最初はぶっきらぼうに断られても「断られる理由」がはっきりしていない場合には辛抱強くアプローチを続けてみましょう。

断り方のパターンを知り対策を練る

トップセールスと呼ばれる営業職は断り方から、なぜ相手が断ってきたかという理由を読み取り、的確な切り返しをして次につなげています。断り文句の常套句は「メリットを感じていないケースで発せられる言葉」と「話を聞くのが面倒なときに発せられる言葉」に分けられます。顧客の心理を読み取り、断りに対する対策を練りましょう。
顧客の心理に寄り添って「視点を切り替えて伝える」と提案は理解してもらいやすくなります。「購入するメリット」ではなく「購入しないリスクを伝える」のも有効でしょう。顧客の問題を聞き出し、「解決策を提案する」のもセールストークの基本です。顧客好みの「別の言い方」でメリットを強調するのもおすすめです。
提案内容に対して顧客が不安を感じて断ることもあります。その場合は、「不安やリスクを分割して小さく感じさせる」と顧客にはメリットがより魅力的に見えてきます。

引き際も考えた営業が大事

営業は顧客から断られた瞬間から、本当の提案が始まります。顧客が断った理由が分かればより精度の高い営業につなげられますし、営業の誠意を示すチャンスでもあるでしょう。ただし、相手の断り方で脈ありかなしかを見極めるのも大切です。完全に断られているのか、トーク次第で落とせる断り方をしているのかを正しく感じ取って無駄な時間をかけないことが肝心です。
もしも顧客が本気で断っているのなら、提案を何度も持ちかけても売上にはつながりません。そのときは、他の顧客に切り替えたほうが効率的でしょう。断られたときに落ち込むだけではなく、次の展開をどう考えるかで営業の能力は決まります。提案を持って行くときは常に「断られた先」を想定して準備しましょう。