会社の経営状況を把握するための指標はいろいろあります。指標を見ることで経営の状態を客観的に捉えることができ、今後の経営方針作成の材料に使うことができます。指標は数字で明示されるため、会社内外でのコミュニケーション時に言葉でのやりとりに比べて明確に伝わりやすいという特徴があります。また競合企業との比較の際にも指標で見ると一目瞭然です。このような指標のひとつとして営業収益があります。ここでは営業収益の概要や営業利益との違いなどについて解説していきます。

営業収益って一体何?

営業収益とは企業の通常の営業活動によって得られた収益の総称のことを指します。民間企業の多くは官公庁や非営利活動団体などと違い、利益を出すことを目的にした組織体です。営業活動は利益を生み出すための一連の行為といえます。収益と利益は違う概念で収益から費用を差し引いたものが利益です。通常、営業収益は売上高とほぼ同じ概念として用いられています。利益を増やすためには収益を増やし、費用を減らす努力が必要です。収益が高い企業は生産力と価値想像力が高い企業といえますし、費用を低く抑えることができる企業は効率性が高い企業と考えられます。収益と費用の両輪をうまく回すことで利益を生み出す優良企業になることが期待できます。以上のように営業収益が上がらなければ利益もでませんし企業の存続も困難になるでしょう。何年間かの営業収益を通年で把握すれば稼ぐ力がついてきたのか落ちてきたのか把握できます。収益が下降傾向であれば新たな投資で新商品・新サービスを開発したり、宣伝広告費をかけて購買意欲を高める手立てをとる必要があるでしょう。

営業収益の位置付けは?

営業収益は営業費用とともに営業損益を構成します。営業損益とは企業の主たる営業活動から発生する損益のことです。営業損益の計算方法について順を追って説明します。通常、営業収益は売上高を指すと触れました。営業収益、つまり売上高から販売目的で購入した商品の仕入高などを差し引くことで売上総利益を導きます。この売上総利益から販売活動や管理業務で発生する販売費及び一般管理費を差し引くことで営業損益が計算できます。営業損益は経営状況を把握する上で不可欠な指標です。営業収益は営業損益を計算するための要の指標であるということができます。営業損益に営業外収益を加えたものが経常損益です。営業外収益は主な営業活動、つまり本業以外からの収益のことです。たとえば企業が不動産を所有していた場合に本業とは関係なく貸し出してその対価として受け取る不動産賃料などのことです。営業外収益と対比する形で営業収益は本業からの利益という意味で使われます。

混同されがちな営業利益との違いは?

営業収益と混同されやすい概念として営業利益があります。営業利益は損益計算書の区分表示のひとつです。損益計算書は決算書の一種で会社法や金融商品取引法で作成が義務付けられています。損益計算書を簡潔に説明すると一定事業期間の損益のようすをまとめたものです。損益計算上の計算では売上高から売上原価を差し引いたものが売上総利益で、それから販売費や一般管理費を差し引いて得られるのが営業利益です。つまり営業損益と同じ方法で営業利益は計算します。営業収益と営業利益の違いは営業に要した費用を差し引いたものか否かです。この点を区別しなくては経営の状況について間違った解釈をしてしまいます。営業利益を増やすことは企業の目標であり、その目標を達成するためのひとつの手段として営業収益のアップがあると考えれば区別がつきやすいでしょう。

営業損益には欠かせない営業収益

営業収益は営業損益を考える上で欠かせない指標だということが分かりました。企業が利益を出すための定石は営業収益をなるべく高め、そして費用をなるべく抑えることです。会社の業績を調べる際には営業収益にも注目し今後の経営改善に活用してみてください。