インターネットの普及した1990年代から、数多くの企業がwebマーケティングの手法を採り入れています。この傾向は今後も続くものと分析されています。webマーケティングとは、その名のとおり、検索エンジン対策やホームページの集客アップなどwebを中心に行うマーケティングです。紙媒体などの広告と異なり、手法の結果をすべて数値で管理できるのがwebマーケティングの大きなメリットのひとつです。ここでは、その代表的な手法である「ファネル」について解説します。

ファネルとは一体何なのか

ファネル(funnel)とは、理科の実験などで目にしたことのある人も多いでしょうが、「漏斗(ろうと、じょうご)」のことです。液体を口径の小さな穴に流下させる際などに用いられます。webマーケティングの手法であるファネルとは、幅広く集められた見込み顧客が検討や商談、成約に至る取引過程においてだんだんと減っていくことをいいます。見込み顧客の角度が高くなるほど人数が少なくなっていくことから、図にした際には逆三角形の漏斗のような形になるため、ファネルと呼ばれます。見込み顧客は、認知度や関心度が低い集客されたばかりの人々を「潜在層」、購入するには何らかのきっかけが必要な人々を「見込み層」、成約直前の人々を「直近層」として階層分けされます。潜在層が最も人数が多く、直近層が最も人数が少なくなります。成約に至るにはそれぞれの階層に合ったアプローチ方法を探ることが大切で、その方法は3種類に分けられます。

3つのファネルを使い分ける

先ほど紹介した、いわば伝統的なファネルをパーチェスファネル(マーケティングファネル)と呼びます。これは購入に至るまでの顧客の心理状況に着目してアプローチする手法です。一方、購入後の顧客の行動に着目したファネルをインフルエンスファネルと呼びます。インターネットの発達した時代では、商品を気に入った顧客が広告塔となって世界中に向けて情報を発信してくれる可能性があります。時にはCMよりも大きなマーケティング力を発揮することもあるでしょう。さらに、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたものをダブルファネルと呼びます。これは商品を気に入ってくれた顧客を逃さないようにしつつ、口コミで商品を広めてもらおうとするための手法です。大々的に宣伝しているにもかかわらず成約数の少ない企業ではパーチェスファネルを活用して、売り上げの低い原因を探ることが大切です。宣伝費をあまりかけられない中小企業や成約数が一定期間変わらない企業ではインフルエンスファネル、ダブルファネルを活用すると良いでしょう。

ファネル活用の注意点

パーチェスファネルでは顧客の行動を予測して、自社の顧客に対する施策を決めていきます。もしその予測が間違っていれば購入や成約に結びつきません。なぜなら、企業と顧客側に意識のずれがあるからです。その場合は、顧客とのコミュニケーションの取り方を工夫して、予測の精度を上げることが重要になります。インフルエンスファネルでは、基本的に顧客の購入後の行動に左右されるので、企業には制御しがたい部分があります。口コミなどで高評価が広まり、自社で対応できないほどの大量の注文がきた場合には思わぬ損害となることがあります。反対に悪評が出回ってしまった場合に備えて、あらかじめ炎上対策を考えておくことも重要でしょう。ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルの旨みをあわせ持つ手法である反面、2つの手法のデメリットがそのままあてはまります。デメリットにも目を向けてどの手法を利用するかを検討してください。

顧客をファン化し味方にすることが重要

顧客との付き合いは、購入後や成約後も継続します。重要なことは、ファネルを活用して潜在顧客を真の顧客にすることです。さらに、自社の商品をほかの人に勧め宣伝してくれる、かけがえのないファンにしましょう。成約に至ったらその顧客との取引が終わったと考えるのではなく、自社の味方として情報を発信してくれる存在になるように、アフターケアを怠らず大事に育てていく姿勢が大切です。